醤油―返し・汁のこと |
先日、NHKの夜のニュースの中で、醤油の酸化防止が可能な新パッケージの
紹介をしていました。
醤油は、作りたては赤紫色です。
それが開封すると、空気と触れて、「酸化」して色が段々と黒くなります。
当然、香りなども変化します。
紹介されていたのは、注いでも、自然とまた空気が入らないようになる
構造のパッケージです。画期的な技術だと思います。
私共一茶庵では、教室でも店でもそばつゆの元になる「返し」=醤油・味醂・砂糖を
作りますが、あえて「寝かせる」ことはしません。
それは前述のように、醤油の色や、香りが酸化によって変化してしまうからです。
よく、返しは1ヶ月、もっと長いところ数ヶ月寝かせて、ということを聞きますが、
醤油メーカーの方に言わせると、皆さん口を揃えて、「寝かせないで欲しい」と
言います。
当然の事だと思います。
あえて、寝かせてる理由は、昔からのやり方、まろやかになる、など色々な
理由はあるようです。
勿論、他の店のやり方に口出しする気は毛頭ありませんが、こうした醤油の特性を
知っての事か、疑問を感じます。
ましてや、出汁を加えた汁を何日か寝かせるという店もあるようですが、醤油の酸化以前に
出汁は、傷みやすいものです。
衛生上のリスクをどう捉えているのか、恐ろしい気がします。
当たり前のことで、食品全般に言えることですが、作ったら、なるべく早く使用するという
のは原則です。
ずっと昔の醤油が製造上、バラつきがあった時代は、安定させるために寝かせるという
こともあったかもしれませんが、今は科学的に言えば、醤油の劣化を進めるだけになります。
醤油のことをこうしてTVなどで放送してくれると、正しい知識が浸透します。
私達にとっては、我が意を得たりというところです。