集客・宣伝不要の繁盛店で修業・・・その功罪 |
当方-元町一茶庵もこの地で開業してからは、10年以上が過ぎました。
当初は、他の店同様、集客のためにチラシ配りから、ポステイングなどを行いました。
私自身も暑い中、チラシ配りをしたり、住宅やオフィスなどを回ってお店のPR文をポストに
入れたりしに行ったものです。
今では、比較的安定してご来店があるため、その必要はあまりなくなりましたが、
こうしたことの経験は、効果があったかどうかは別にして、集客を意識するには
とても大事だと思います。
特に際立った知名度や、実績のあるケースは別にして、個人が出店した場合、オープン
当初はともかく、数週間、数か月たつと、おのずとお店へのご来店は落ち着きます。
ここで、その対策として色々な「販促・集客」対策を実施していくお店も増えてきました。
勿論、現在では、ホームページ以外にも、ツイッター、フェイスブックなどのツールを
使うお店も珍しくありません。
最近多くなった、ご来店客への礼状=「サンキューメール」や顧客リストを作って
販促を欠ける等々、手法はきりがありません。
注意したいのは、有名・繁盛店で修業したケースでは、こうした販促手法をあまり
手掛けていないお店も多いということです。
ホームページを持つお店は、かなりの有名店でも増えましたが、それ以外のものまで
取り組んでいる店は、少ない、または必要がない、のが現状です。
ましてや、チラシ配りや、ポステイングなどをしているお店はまずないので、こうした
「経験」もすることはありません。
その感覚でそのまま自分の店を出店した場合、「集客」という観点が抜け落ちてしまう
こともままあります。
実際に私が目にしたケースでは、いずれも東京の有名店で修業して郊外のベッドタウンで
出店したケースですが、いずれも、修業した腕への自信のためか、うまいそばと料理を
売り物にしましたが、あえなく1年足らずで閉店しました。
出店場所の選択も要因としてはあるものの、まったく「集客」という感覚がなく、ひたすら
「うまいものを出せばお客さん来る」という思い込みは?です。
手打ちそばは現在では珍しくありません。
「うまいもの」は世の中にあふれています。
目を引く「造り」のお店も増えてきている時代です。
その中で自分のお店に足を運んでもらう、という「商い」の原点を忘れないようにしたいもの
です。
私なども、先代の頃は東京で店を構え、高度成長という時代背景もあり、「売れて困る」
というのを目にしていましたが、冷静に考えて、「一茶庵」という屋号は、
そば好きには知られているものの、一般の方はほとんど知らない、という風にとらえていました。
従って、「一茶庵」という屋号だけで商売ができるとは毛頭思っていません。
だからこそ、今でもできる範囲で、販促活動は怠らないようにはしているつもりです。
繁盛店、有名店で修業するのは、活気のある環境で仕事が出来て、素晴らしいことですが、
自分がお店を開いたら、基本的にはゼロからのスタート、ということを
忘れないようにしたいものです。
むしろ、それが商売の醍醐味でもあるのですが・・・。