作家とそば屋...その共通点 |
大学生が著名な作家にインタビューをしたものをまとめた本です。
共通するのは、作家になった原点や、きっかけ、作家として心がける事等々多岐に
わたり、興味深い内容になっています。
最も共感したのは、登場する作家のほとんどが語る「作家としての心得」として
「たくさん本を読む」「他分野への興味を持ち続ける」という趣旨のことでした。
どんな仕事も共通するのだと思います。
私がそば屋開業に際して、常々言っていることに、
「たくさんのそば屋を訪ねること」
「ほかの業種のお店にも興味を持つこと」
「そば以外の勉強をすること」等々があります。
物語を創造する「作家」という職業も例外ではない、ということです。
「文学賞に応募する作品は、村上春樹風のものが多いが、村上春樹はひとりいれば
良いのです」
登場する作家が語る言葉は、そのままそば屋開業にも当てはまると思います。
大いなる想像力、創造力が必要とされます。
それには、同時に大いなる蓄積が必要だということです。
逆に言えば、セカンドライフとしてそば屋を選ぶ方は、それまでの人生、職業経験が
そのまま財産になるということも言えるでしょう。
また「文章は経験でうまくなるが、ストーリーの組み立ては感性、天性のものがある」
という言は、興味深いものです。
細かな調理技術や、そば打ちの技術はトレーニングで上達します。
しかし、お店のコンセプトなど「ストーリー」を作ることは、その人の内面の発揮でもあります。
必ずしも「技術」だけでは、ないということも、作家の世界とある意味共通するといえるでしょう。
こうしたことを難しい、と思うのか、興味深く面白い、と感じるのか、そこが最も大切では?
と思うばかりです。