「修行をやめた・・・」 |
以前「修行を決めた・・・」という教室卒業生のケースを紹介した事がありました。
50代の方が首都圏の名店で1年の予定で、「就職」して修行に励む決意を
された...。
しかし、数け月で断念されて、出身地へ戻られたことを最近お聞きしました。
私は、失礼ながら予想通り…だったのですが、むしろ良かった、とも思っています。
ご本人とも電話で話もしましたが、途中で断念されたことは残念と言えば残念ですが、
むしろさばさばしていて、「現場を見ることができた」だけでも良かった、と話されて
いました。
私も同感で、20-30代ならともかく、中高年以上になっての「修行」は技術習得以外に
店での序列や人間関係、良くも悪くも店主のワンマン経営ですから、なかなかしんどい
のは往々にして多いものです。
(もちろん、人格的に素晴らしい方があえて「人を育てる」お店もないわけではありませんが
やはり主にこれは若い方が対象となることが多いものです。)
今後、この方は教室で学んだこと、「修行先」のお店で学んだこと、そして以前から温めて
いた構想を実現させるための開店準備に入られるようです。
50代以降の1年は貴重です。
どうしても、開業に不安な方が店で修業をしてから…という気持ちは理解できます。
しかし、何度か紹介しているように、修行なしでも現在地域の繁盛店、人気店になっている
ケースは多々あります。
開業前に電話で何度も相談をしてきて、開店前のトレーニングをしていた方などはちょうど
現在開店約1年ですが、修行の経験はなく、飲食業務の経験も勿論なく、スタートしました。
不安いっぱいの様子は私も見て取れましたが、今や多数の人気メニューを考案して、
好評を博しているようです。
連日売り切れになっている様子は、素晴らしいことだと思います。
今回の方も、「修行断念」についての気持ちはふっ切れているようですから、あまり私は
心配していません。
もしも、若くはないけれどどうしても店の修行を…という方はお店の研修、見学あるいは
出身店等の店主と話す、だけでも全く構わないと思います。
一度現場を運営する立場から見ることができれば、それで十分だと思います。
いつも言うように、お店を良くして繁盛させるには、他にもに大事なことが数多くあります。
店のコンセプトの熟慮や店づくりの検討等々、「考えること」の重要性ははかりしれない
ものがあります。
将来的には、「修行を断念した」ことがむしろ良かった、と思えるように今回の方も
是非なってほしいと願っています。