そば打ちを「楽しむ」こと |
プロとしてそば屋を開業すると、そば打ちは「仕事」になります。
そば屋では、そば打ち以外にも、種物やつゆの仕込み、調理作業など、
提供するものを「作る」ことは勿論ですが、
営業全般、お店の運営、金銭の管理、人の管理、事務作業なども「仕事」
です。
そばを打つことが好きでそば屋を目指す方にも、実際の営業では
そば打ち以外の仕事が、予想以上に多いことに驚く方もいらっしゃいます。
私の亡くなった父も、プロコースの中でいつも受講生の方に言っていたのは
そばを打つことは、お店の仕事の1割くらい、という趣旨のことでした。
その頃、業界の中でも抜群のそば打ちの腕を持っていた父がそう話すのを
私も若い頃は、意外な気持ちで聞いていたものです。
しかし、歳を経るにつれて私もそれは実感しており、
同じような主旨のことはいつも伝えているつもりです。
昨日は、プロ野球-ヤクルトスワローズの宮本選手が42歳で引退しました。
スピーチで「野球を楽しんですることはなかった」と言っていました。
気持ちは理解できます。
職人的な選手として評価された、宮本選手ならではの言葉だと思います。
しかし、宮本選手もきっと子供のころ野球を始めた頃は「楽しんで」プレイ
していたのだと思います。
そば打ちも同じです。
きっかけや、スタートはやはり「楽しい」という気持ちからだと思います。
これが、「仕事」になれば、量や時間の制約、そしてもちろん仕上がりの
レベルが求められることから、必ずしもいつも「楽しい」という感覚ではないときも
出てくるものです。
しかし、心のどこかに「楽しい」という感覚を持つことは大事なことだと
思います。