大坊珈琲店のこと |
青山のメイン通りでありながら、「ひっそりと」営業していたお店が昨年閉店しました。
38年間営業していた「大坊珈琲店」。
「1番」から順に番号をつけたメニューのラインナップもユニークなものでした。
1杯づつご店主が淹れてくれる珈琲は至福の時をもたらしてくれました。
店内も、木のぬくもりが感じられる、素朴な味わいで、東京の真中という感覚を
忘れてしまう独特のものでした。
私も東京に用事がある時は、その珈琲1杯を求めて立ち寄ったものでした。
カウンターに座り、ご店主が愛おしむ様に珈琲を入れる様子を見ていると、
まさにある種、素晴らしい「演技」をみるかのごとき感覚を覚えたものでした。
最近出た「ブルータス」の中で、元店主の大坊氏のインタビュー記事が出ていて
そのお店の記憶を呼び起こしました。
珈琲好きには、有名なお店ですがこうして無くなっても、多くの方に記憶されている
お店、というのは素晴らしいことだ思います。
今回掲載された内容を見ると、やはりご店主は広く芸術性のある分野に造詣が深く
「哲学」をもって、お店に立たれていたのだと感じます。
「店主」という役割を見事に演じた名優、ともいえるかもしれません。