「手打ち」を思わせる?イメージ戦略 |
まず、我々は長く手打ちそばの仕事に携わっていますが、「手打ちが絶対」
という考え方はありません。
手打ちのメリットは、良質の材料を均一に仕上げることが出来れば、品質の高い
物が出来る可能性が高い、ということです。
当然、機械製麺は均一性では手打ちに勝る可能性は大であり、かつ大量生産という
目的では、手打ちの「生産量」を上回ることは確かです。
こうしたことは前提ですが、「手打ち」の定義が定かでないこともあり、
明らかに機械製麺であるお店でも、店の造りやイメージ戦略で「手打ち」
であろうと思わせる手法も結構見かけます。
最近教室に来られた生徒さんで、ある地方のお店のそばを気に入って
そこの材料を使ってそばを打つのだが、うまく打てない、という方がいました。
これは、我々から見ると、やや疑問です。
このお店のそばは、その規模や仕上がりから、明らかに機械製麺です。
また、その風合いは「粗挽き」風でもあり、見た目、食感は手打ち風ですが
つなぎの量も相当に入っていることが見受けられます。
機械打ちでは、何の問題もないことですが、この材料を手打ちでそのまま用いる
のはかなり、無理があります。
まあ、このお店の手法には商売上では、全く問題はないのですが、
このお店にほれ込んで必死で努力を続けるこの方が、ややかわいそうにも
思えてきます。
このお店を「手打ち」と信じているこの方のことを思えば、「機械製麺」ということを
言うのもためらってしまうものです。