大阪「荒凡夫」へ・・・ |
関西では「そば」よりも「うどん」。
関東では、「そばうどん」と言いますが、関西では「うどんそば」。
そんなイメージの強い関西ですが、それも今は昔といえるでしょう。
大阪にも、本格的な手打ちそば店が現在では、多々あります。
もう20年くらい前位から、続々と個性豊かなお店が広がり始めて、私も時折
その推移を現地で見てきました。
こちらの「荒凡夫」は三重の松阪で元々はスタートしたお店です。
しかし、一昨年に、この地に移転してこられました。
松阪時代から、自家製粉を試みて、粗挽きをはじめとした「そば」本来の素材を
際立たせることで、その存在感を示してきました。
土曜日の口開けに伺いましたが、既に先客もあり、12時前までに、カウンター7席
が続々と埋まっていきます。
流石にミシュラン店として、今や大阪でも屈指の実力店になったことを感じさせて
くれます。
シンプルなメニュー構成ですが、やはりこのお店のそばをダイジェスト的に感じるべく
「そば三昧ざる」(1600円)を頂きます。
こちらは、二八・十割・粗挽きの3種のそばが、それぞれ「半盛り」で提供されます。
まずは、「二八」。
鮮やかな色合いと、つやのあるそばの姿が黒竹のざるに美しく映えます。
なめらかな食感と、しっかりとしたそばの風合いが引き立つそばです。
続いて「十割」。
丁寧に挽かれて、吟味された素材であり、くどい感じやいわゆる歯にぬかること
もなく、やはり端麗な「十割」です。
最後に「粗挽き」。
いわゆる、黒いホシが散った姿ではなく、こちらもきれいな姿の「粗挽き」です。
風合いはやはりしっかりと感じられるそばですが、ぶつぶつと短くもなく、そばを
食べることの楽しさがしっかりと感じられます。
そばを食べ終える頃を見計らって、織部の片口でそば湯が供されます。
そば1.5枚分ということですが量も全体でしっかりあり、ミニコース的に順番に
提供されて、満足感が十分にあります。
今回の産地はいずれも福井-丸岡産だそうですが、店主の素材への飽くなき
吟味の賜物だと思います。
カウンターのみ7席のそう広くない店内ですが、通路も広く、また天井も適度に高く
何か開放感も感じられます。
店主が一人で対応されていますが、入店順にしっかりと着実に注文をこなし、
尋ねれればそばや、お酒の説明も丁寧にこなされています。
移転開業から1年余りでミシュランに堂々と掲載されて、その価値が十分感じられる
お店になっていることに感銘を受けました。
異業種から転入された店主は、当方の教室でも学ばれましたが、今や独自の
境地を確立しつつあるようです。
簡略して言えば、「自由で平凡な男」という「荒凡夫」という屋号は、このお店の
柔らかなゆったりした雰囲気をある意味的確に示しています。
大阪の地で、気負うことなく更なる飛躍を遂げるであろうこのお店に
今後も期待しています。
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