新版 安売りするな!「価値」を売れ!(日本経済新聞社) |
いわゆる「マーケティング本」です。
行間も広く?まあ大体1-2時間もあれば読めてしまう本なので、
買う必要は人それぞれでしょう。
器用な?人なら立ち読みだけでも良いかも知れません。
私も新聞広告につられて購入しましたが、いくつかのフレーズが
印象に残ったので紹介しておきます。
「モノではなくて経験を売る」という「エクスペリエンス・マ-ケテイング」を提唱
活動する方が書いた本です。
モノの価値をきちんと伝えて、安売りをしない。
そのためには
①関係性-SNSを含めて何らかのつながりを媒介にして消費につながる。
②個-個性や個人の特性を前面に出して売る。
③好き-好きなことや好きな仕事が新たな価値を生み出す。
④編集-商品や情報をどう組み合わせるか、どう魅力的に伝えるか。
⑤逸脱-常識的な考え方から逸脱して、多様な視点を持ち、思いもよらない価値を生み出す。
といった事が語られています。
確かに今やSNSを含めて、情報発信を通じて、何かしらの形で知った、
知っているお店に行こう、購入しよう、という動機付けは大きいものです。
また、店主の個性や場合によってはプライベートを含めた個性がアピール材料に
なるケースも多々あります。
この本の中で語られている「原価、人件費、売上、客単価、対前年比と儲けばかりを
考えている有名シェフの店と、料理を作ることが大好きで、お客様に美味しいと言って
貰えることに喜びを感じているシェフの店。あなたはどちらで食事をしたいですか?」
といった記述は、核心をついています。
利益を上げることは重要だが、それよりも顧客に喜んでもらえるように、
かつ情報を知ってもらうためにどうすればよいかを
考える、といったくだりは身近に感じます。
全てを応用することはできなくとも、例えば自分がそば屋を開いたら・・・。
「関係性」=SNS等を活用することは今や必須と言っても良いでしょう。
「個」=個性を生かした店づくりや、自分の個性をアピールすることがお店のファンを
生み出すことにつながるケースもあるでしょう。
「好き」=そばが好き、そばに関することがとても好きな店主であることが伝わると、
信頼感は増すでしょう。
「編集」=独自のメニューやそばの知識や情報、楽しみ方を自分なりに「編集」
することで斬新なものが生まれる可能性もあるでしょう。
「逸脱」=常識にとらわれない店づくりや、コンセプトを生み出せば、それは大きな魅力に
なるでしょう。
また、「この商品を買ったら、どういう体験が得られるのか?
どういう新しい生活と出会えるのか?
どんなライフスタイルを過ごせるのか?どんな問題解決をしてくれるのか?」
といったテーマはそば屋に当てはめて考えても良いでしょう。
自分の店に来てもらうこと、そばや料理等を食することやお酒を含めて楽しむ時間が
顧客にとって、どんな価値を見出してもらえるのか」
といった事を考えることは意味のないことではないでしょう。
今や飽和状態にある日本の消費を象徴するかのごとく、
「スパゲテイミートソース」の厳しさを例にひいています。
昭和の時代は「ミートソース」と「ナポリタン」だけだった選択肢が今や、
「ボンゴレ・ビアンカ」「カルボナーラ」「ペスカトーレ」「ペペロンチーノ」
「和風スパゲッテイ」に「スープスパゲッテイ」
という状況の中で、「ミートソース」が選ばれるのは格段に厳しくなっている、
ということは実感できます。
機械打ちで、出前が主力だった街場のそば屋さんがあふれて、
「手打ちそば屋」が数少なかった高度成長の時代から変化して
今や「手打ちそば」は世の中にあふれています。
その中から選んでもらうためには、単に「美味しい」だけで良いのか?
「安売り」しなければならない事態を避けるためには?といったことを
自問自答すべきかもしれません。
SNSに対する評価の大きさや、著者の主張する「エクスペリエンス・マ-ケテイング」の
アピール度が強い一面も感じますが、「本」特にビジネス本というのはワンフレーズ
でも役立つことを見つけられれば、私は良いと思っているので、この本を読んだことは
良かったかな、と感じています。
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