2018年 03月 12日
北大路魯山人~食器の革命~ 於:鎌倉吉兆庵美術館 |
鎌倉にある小さな美術館で、今月の11日まで開かれていた企画展です。
北大路魯山人は広く知られているように、美食家、料理人、書家、陶芸家、
漆芸家、画家等々とどの分野をとっても超一流のいわば真の「天才」と
いえるでしょう。
中でも「器」は伝説の料理店「星岡茶寮」で料理の提供のために多種多様の
素晴らしい「作品」を魯山人が作り上げたことは有名です。
九谷、伊賀、瀬戸、織部、志野、備前等々いわば日本が持つ技術のエッセンスを
集めたような作品群は、今目にしてもその斬新さ、素晴らしさは一向に色褪せません。
週末の昼頃に入館しましたが、こちらでは常設展でも魯山人の作品を
展示しているためか、私一人の貸し切り状態でゆっくりと鑑賞できました。
(美術館ですから、写真は撮れませんが代表的な作品も多く展示されて
いて、改めてその素晴らしさに感銘を受けました)
魯山人とは、祖父片倉康雄が昭和初期、そばの材料を星岡茶寮の支店-銀座の
銀茶寮へ納めることで、多少の関りができたようです。
私が子供時代、祖父の家で来客との会話の中で、魯山人との出会いのことを
語っていた祖父の姿を今でも覚えています。
「蕎麦と生きる」(一茶庵友蕎子 片倉康雄伝)(柴田書店)にも魯山人から
「器を自分で作りなさい」と言われたことをはじめとして薫陶を受けたこと
が記されています。
今思うと、祖父はその後、器は勿論、書や道具その他そばや料理に関わること
のほとんどを自分でこなすようになりましたが、やはり魯山人からの影響も
多分にあったように感じます。
魯山人は周知の通り、プライベートでも天才肌特有の常識に
とらわれない生き方をした人物です。
祖父も今にして思えば、そうした面までも意識していたのか、
それとも魯山人ほどでなくとも、やはり「天才」の領域の人だったのか・・。
とも思います。
神田の店では、魯山人と関わりの深かった荒川豊蔵の作品を惜しげもなく
使っていたことを思い出すと、今では少し怖いくらいの思いもあります。
魯山人の「うつわは料理の着物」という言葉が有名ですが、祖父も父も器への
こだわりや思いは凄いものがありました。
それも、ひいては魯山人との出会いが原点だったのかと、この企画展を見て
改めて感じるところです。
鎌倉吉兆庵美術館HP
by issaan2006
| 2018-03-12 07:55
| その他