一茶庵創業の日 |
大正15年、今から82年前のことです。
ご存知の方も多いかもしれませんが、新宿の東口で祖父-片倉康雄がそば屋を
開業した日です。
今の新宿と違い、大きな繁華街と言うわけでもなかった場所で最初は経験も殆ど
無しで創業したので、はじめから順調とは行かなかったようです。
そのあたりの経緯は「蕎麦と生きる」や「手打そばの技術」にも詳しく書かれています。
時代は変わり、蕎麦をめぐる状況も大きく変化しました。
高度成長の時代に衰退した「手打ち」がオイルショックを経て,昭和50年代くらいから
復活し始め、今では確固たる地位を築き、更に単純に「手打」というだけではなくもっと
細分化された特長を持つ店やそばが当たり前になってきた、と言う事です。
また、手打でない業態では「そば居酒屋」的な業態も大規模店が出来てきました。
他の業界同様、ニーズの多様化、多業態化というところでしょう。
いずれにせよ、一茶庵は創業からまだ100年に満たないわけですから、江戸時代から続く
東京の老舗などと比べるとまだまだ新参者といわなければ、いけないでしょう。
「蕎麦屋の系図」という本では「一茶庵系」と紹介されるほどに、一茶庵と縁のあるお店も
数多く増えました。
これは祖父が手打の技術を理論化し、体系付けたこと、教室と言う誰もが学べる形を
作った事が大きいと思います。
それでもまだまだ、暖簾の名前に胡坐を掻く事をせず、伝統は守りながらも謙虚に
新たな挑戦をし続ける事が、大切だと思います。
「成長・変化をしない物は滅びる」という言葉を、蕎麦とは無縁の方の本で読んだ事がありますが、まさにその通りだと思います。
日々営々と同じことを繰り返す-それが「商い」-「飽きない」なのですが、
それと平行して常に成長、変化を恐れない事が必要で、この業界にある意味
「革命」を起こした祖父の原点もそこにあったように思います。